地上置タンク底部の腐食損傷診断 A

 図は、欧州における原油タンクへの適用例である。左図は、底部におけるアコースティックエミッション(AE)発生位置を示したもので、アコースティックエミッション(AE)イベントが多く検出された位置ほど腐食損傷の激しい位置であることを表している。また右図は、同じ底部に対して、開放検査時に清浄後、磁束漏洩全面検査を行ったときの結果である。この検査で現に区が極めて大きいと判定された位置は、多くのアコースティックエミッション(AE)イベントが検出され、腐食損傷が激しいと判定された位置と比較的よく一致している。

 現在、イギリス、フランス、ドイツ、オランダなどの欧州諸国において、年間1000基以上のタンクに対してアコースティックエミッション(AE)試験が実施されている。さらにアメリカでも、大手石油会社でRBI適用の一環として、大掛かりなアコースティックエミッション(AE)試験実施のプロジェクトが2003年に始まり、今後急速な進展が予想される。こうした現状から、とりわけ欧州ではタンクの底部評価に対するアコースティックエミッション(AE)試験は標準化され、一般的な検査方法として確立されたものとみなして差し支えないと考えられる。現在CEN規格化が進行中であり、さらに近い将来ISO化されることも予想されている。

 わが国においても、アコースティックエミッション(AE)試験のデータベース化が進行中であり、わが国固有の維持管理体制、および法体系に即したアコースティックエミッション(AE)試験手順、そして評価・判定基準を策定しようとする作業が進められ、日本高圧力技術協会(HPI)により、技術指針(HPIS)が、2005年5月に制定された。今後アコースティックエミッション(AE)試験を信頼性の高い実用技術として確立するため、さらにデータベースの充実が期待されている。